「本番直前に上手く弾けなくなる」という問題が起こる仕組み
2022.09.24.11:40
コンサート、発表会、コンクールなどの直前に
「急に弾けなくなってしまった」ということは、ありませんか。
弾けなくならないまでも、「どんどん下手」になっていったり
「身体が痛くなったり」というトラブルもよく耳にします。
ここでは、このようになることの仕組みと、その改善方法について
書きたいと思います。
私たちの身体は、日々変化しています。
お天気や気分、日々のできごと、ふとよぎった思考
今日行った作業など、様々なものに影響を受けて変わっていきます。
その影響は、私たちの知らない間に
私たちの演奏に入り込みます。
例えば、その日、足の指が自由に動かない
きつめの靴を履いていた影響で、
足の指が丸まったまま動かなくなっていたとします。
するとどうなるでしょう。
試しに、足の指を丸めてグーにしてみてください。
足の裏が緊張して、踵が動かなくなることがわかると
思います。
→足の指を動かす筋肉の多くは、足の指と踵を結んでいるので
このようなことが起こります。
さらによく身体を感じてみると、足の指をグーにしただけなのに
足首と膝も緊張していませんか?
→実は、踵には「足首と膝を同時に屈曲(足首は底屈)」させることの
できる大きな筋肉(腓腹筋)がついており、踵が緊張すると
この腓腹筋が縮んで、足首と膝が緊張します。
足の指の緊張から、踵の緊張が起こり
踵の緊張から、足首と膝の緊張が起こると
いうわけです。
このような連鎖は、さらに続き
膝の緊張は股関節を緊張させます。
足の指が動かないことで、下半身はこのように
関節が固定され、機能することができなくなります。
足の指の緊張から動けなくなった下半身に対して
脳は「身体を支えたりコントロールしたりすることはできない」と
判断します。
そして、何とか身体が倒れないようにと
上半身に身体を支えるための筋肉の緊張の命令を出します。
このように、脳は動かなくなったところに対して
そこを「動かない前提として」
運動命令を作ります。
もしそのままピアノの練習をしたなら、脳は
この運用をピアノ演奏の時にも使うことでしょう。
そして、私たちは、この身体の緊張を
「演奏に必要な運動命令」として脳に記憶させて
しまうのです。
もちろん、これとは反対に、
その日行ったストレッチや履き心地の良い靴や
その日あった嬉しい出来事などが
身体の筋肉の状態に影響し、
「動かなかった場所」が動くようになって
運動命令が良い形に変化することもあります。
どんな形であれ、私たちの身体は日々様々なことに
影響を受け、それが演奏に反映されていくのです。
(だから、今日は手が痛いけれど、今日は痛く無いというような
ことも起こるわけです)
さて、今日のテーマの「本番前に、調子が悪くなる」という問題は
この仕組みから起きていると私は考えています。
本番直前の精神的な不安は、身体の緊張を引き起こし、身体の中に
たくさんの「動かない場所」を作り出します。
メカのあちこちが、急に動かなくなった状態です。
これによって、全身の動きも緊張度も変わり
演奏の質が変わってしまいます。
すると、またその状況に精神が反応して、身体の中に動かない場所が
増えていくのです。
そして焦って身体が動かなくなる。動かないから焦るの
無限ループが起こります。
脳は急いで何とかそれに対応してくれますが
それでも使える身体の部分が減っていくので
脳が作る運動命令は、どんどん「緊張度の高い
合理性のないもの」になっていき、
身体はどんどん動かなくなります。
動かせる場所があまりに少なくなって
もう脳がどうにもやりくりできなくなった時
私たちは「弾けていたものが全く弾けない」という状況に
追い込まれます。
これが、本番直前のトラブルで起きていることの実態です。
こんな時に、まずやらないといけないことは、
まず、弾くのを一旦止めることです。
この仕組みを考えればわかることですが、
弾いても不安はなくなりません。
まずは鍵盤から手をおろし、身体の筋肉を緩めましょう。
ここでは、このような混乱状態から抜け出すための一歩
「身体を全体を一度に緩ませて、気持ちを落ち着かせるエクササイズ」を
ご紹介します。
これは、このような緊急時ではなく、何だか今日は調子が悪いと思った時にも
役立ちます。
ぜひ試してみてください。
「心と身体を緩める足のエクササイズ」
1.足の指を一本ずつを持って根元からぎゅーっと反らせましょう。
一回、5秒ぐらい反らせてください。
2.次に足の指の爪のすぐ下の関節をまた一本ずつ反らせましょう。
これも5秒ぐらい。
3.先ほど「2」で反らせた関節のもう一つ下にある関節を反らせましょう。
これもまた5秒。
※親指には、この関節はないので、2,3,4,5の指のみ。
4.今度は足の指を一本ずつ持って、根元からぎゅーっと丸めましょう。
先ほど反らせた関節一つ一つを感じながら、これも5秒。
5.最後に踵を両手で包んで(片手は踵の床に接している面を、反対の手は
アキレス腱の延長線上の部分をできるだけ広めに包んで)
踵を温めるような気持ちで10秒そのままでいてください。
その時、ゆっくりと呼吸をすること。
もう少し何かしたいと思ったら、
ピアノの前で緊張する人は、お尻がかたくなっている
で紹介した「お尻歩き」のエクササイズを楽譜を見ながらやるのも
効果的です。
♪ピアノと身体の関係にご興味がある方は無料モニターレッスンを受けてみませんか?
コンフォータブルパフォーマンスメソッド
遠方の方はオンラインでも対応しています。
「急に弾けなくなってしまった」ということは、ありませんか。
弾けなくならないまでも、「どんどん下手」になっていったり
「身体が痛くなったり」というトラブルもよく耳にします。
ここでは、このようになることの仕組みと、その改善方法について
書きたいと思います。
私たちの身体は、日々変化しています。
お天気や気分、日々のできごと、ふとよぎった思考
今日行った作業など、様々なものに影響を受けて変わっていきます。
その影響は、私たちの知らない間に
私たちの演奏に入り込みます。
例えば、その日、足の指が自由に動かない
きつめの靴を履いていた影響で、
足の指が丸まったまま動かなくなっていたとします。
するとどうなるでしょう。
試しに、足の指を丸めてグーにしてみてください。
足の裏が緊張して、踵が動かなくなることがわかると
思います。
→足の指を動かす筋肉の多くは、足の指と踵を結んでいるので
このようなことが起こります。
さらによく身体を感じてみると、足の指をグーにしただけなのに
足首と膝も緊張していませんか?
→実は、踵には「足首と膝を同時に屈曲(足首は底屈)」させることの
できる大きな筋肉(腓腹筋)がついており、踵が緊張すると
この腓腹筋が縮んで、足首と膝が緊張します。
足の指の緊張から、踵の緊張が起こり
踵の緊張から、足首と膝の緊張が起こると
いうわけです。
このような連鎖は、さらに続き
膝の緊張は股関節を緊張させます。
足の指が動かないことで、下半身はこのように
関節が固定され、機能することができなくなります。
足の指の緊張から動けなくなった下半身に対して
脳は「身体を支えたりコントロールしたりすることはできない」と
判断します。
そして、何とか身体が倒れないようにと
上半身に身体を支えるための筋肉の緊張の命令を出します。
このように、脳は動かなくなったところに対して
そこを「動かない前提として」
運動命令を作ります。
もしそのままピアノの練習をしたなら、脳は
この運用をピアノ演奏の時にも使うことでしょう。
そして、私たちは、この身体の緊張を
「演奏に必要な運動命令」として脳に記憶させて
しまうのです。
もちろん、これとは反対に、
その日行ったストレッチや履き心地の良い靴や
その日あった嬉しい出来事などが
身体の筋肉の状態に影響し、
「動かなかった場所」が動くようになって
運動命令が良い形に変化することもあります。
どんな形であれ、私たちの身体は日々様々なことに
影響を受け、それが演奏に反映されていくのです。
(だから、今日は手が痛いけれど、今日は痛く無いというような
ことも起こるわけです)
さて、今日のテーマの「本番前に、調子が悪くなる」という問題は
この仕組みから起きていると私は考えています。
本番直前の精神的な不安は、身体の緊張を引き起こし、身体の中に
たくさんの「動かない場所」を作り出します。
メカのあちこちが、急に動かなくなった状態です。
これによって、全身の動きも緊張度も変わり
演奏の質が変わってしまいます。
すると、またその状況に精神が反応して、身体の中に動かない場所が
増えていくのです。
そして焦って身体が動かなくなる。動かないから焦るの
無限ループが起こります。
脳は急いで何とかそれに対応してくれますが
それでも使える身体の部分が減っていくので
脳が作る運動命令は、どんどん「緊張度の高い
合理性のないもの」になっていき、
身体はどんどん動かなくなります。
動かせる場所があまりに少なくなって
もう脳がどうにもやりくりできなくなった時
私たちは「弾けていたものが全く弾けない」という状況に
追い込まれます。
これが、本番直前のトラブルで起きていることの実態です。
こんな時に、まずやらないといけないことは、
まず、弾くのを一旦止めることです。
この仕組みを考えればわかることですが、
弾いても不安はなくなりません。
まずは鍵盤から手をおろし、身体の筋肉を緩めましょう。
ここでは、このような混乱状態から抜け出すための一歩
「身体を全体を一度に緩ませて、気持ちを落ち着かせるエクササイズ」を
ご紹介します。
これは、このような緊急時ではなく、何だか今日は調子が悪いと思った時にも
役立ちます。
ぜひ試してみてください。
「心と身体を緩める足のエクササイズ」
1.足の指を一本ずつを持って根元からぎゅーっと反らせましょう。
一回、5秒ぐらい反らせてください。
2.次に足の指の爪のすぐ下の関節をまた一本ずつ反らせましょう。
これも5秒ぐらい。
3.先ほど「2」で反らせた関節のもう一つ下にある関節を反らせましょう。
これもまた5秒。
※親指には、この関節はないので、2,3,4,5の指のみ。
4.今度は足の指を一本ずつ持って、根元からぎゅーっと丸めましょう。
先ほど反らせた関節一つ一つを感じながら、これも5秒。
5.最後に踵を両手で包んで(片手は踵の床に接している面を、反対の手は
アキレス腱の延長線上の部分をできるだけ広めに包んで)
踵を温めるような気持ちで10秒そのままでいてください。
その時、ゆっくりと呼吸をすること。
もう少し何かしたいと思ったら、
ピアノの前で緊張する人は、お尻がかたくなっている
で紹介した「お尻歩き」のエクササイズを楽譜を見ながらやるのも
効果的です。
♪ピアノと身体の関係にご興味がある方は無料モニターレッスンを受けてみませんか?
コンフォータブルパフォーマンスメソッド
遠方の方はオンラインでも対応しています。
スポンサーサイト